車いすで行くバスツアーレポート|やまなみ工房とボーダレス・アートミュージアム NO-MA

世界から注目を集めるアートセンター&福祉施設「やまなみ工房」と、「ボーダレス・アートミュージアムNO-MA」の2か所に絞り、滋賀県でゆっくりとアートを堪能するバスツアーを開催しました。

目次

大型リフトバス利用!15分で6名の車椅子ユーザーが移乗なしで乗り込み完了

ツアーは大型リフトバスを利用して実施しました。

リフトバスとは、車椅子の乗降を助ける電動リフトが設置されたバスで、福祉バスとも呼ばれています。

近江鉄道さんの大型リフトバスには、6名の車椅子ユーザーが車椅子のまま乗車可能です。

▲近江鉄道さんの大型リフトバス

集合場所の新大阪駅前にある貸切バス駐車場に来られた方から、順番にご乗車いただきます。 

▲電動リフトで、皆さんすいすいと乗車されます。

6名の車椅子ユーザーの方の乗り降りにかかった時間は、約15分。

リフトバスの場合は乗務員2名が同行し、バス車内はしっかりと器具で固定してもらえるので、安心です。

▲車椅子1台に対して4か所をバス車体と専用器具で固定します。

予約困難な「やまなみ工房」のアトリエ見学へ

やまなみ工房は、1986年に誕生した障害のある方々が“自分らしく表現する場”として活動する施設です。ギャラリーやカフェが併設されており、こちらは予約不要で訪れることができます。

今回は、予約しないと見学できないアトリエへ。利用者の方々が創作活動や作業をしているところを、案内付でまわりました。各地から視察に来られるということで、実は予約困難な場所です。

 最初にご案内していただいたのはギャラリー。こちらでアートをみながら、副所長さんにやまなみ工房についてお話をいただきました。

1つ1つのアートに利用者さんのエピソードが詰まっていて、あれもこれも聞きたくなりました。

 昔は地域に作業所がなく、学校を出ても働く場所がありませんでした。甲賀で働ける場所をと、3人の利用者と2名のスタッフで無認可から細々と始めた活動が社会福祉法人になり、現在では、94名が通所しています。 

実は、最初はアートではなく内職作業をしていました。作業が苦手、嫌いな人にもなんとか仕事を覚えてもらおうと頑張っていたのですが、なかなかうまくいきません。そんなとき、利用者の方が休憩時間に落書きをしている姿がとても楽しそうな様子をみて、もっと自分らしく過ごせる時間や環境があるのではと、絵や粘土から始めました。

スタッフにアートの先生や指導者はいません。「利用者が楽しそう」、「落ち着く」などをみて、やることを決めているそうです。”居心地良く過ごしてもらうための手段がアートだった”という話が印象的でした。今では、世界中にコレクターがいるアートや、パリコレにでるアートまであるそうです。

ギャラリーでお話を聞いたあと、実際にアトリエにお邪魔させていただきました。

利用者さんの自己紹介、それぞれの創作活動の紹介があります。

 集中して活動したい人、おしゃべりしながら活動したい人など、利用者さんの環境にあわせてお部屋はいくつかに分かれています。

静かに作業するお部屋では、1人1人に机があり、集中している様子が伝わりました。
おしゃべりが好きなお部屋は大きな1つの机を囲んで、にぎやかに作業をしていました。 

見学の後は、工房に併設するカフェデベッソで近江牛の特製キーマ&ほうれん草のあいがけカレーをいただきました。昼食後は、ショップでお買い物も楽しみました。先ほど目の前でみたアートがポストカードや財布、かばんになっていると欲しくなってしまいます。

いろどりが美しいだけではなく、健康的なメニューが嬉しい。

バリアフリー美術館「ボーダレス・アートミュージアム NO-MA」へ

 バスに乗って近江八幡へ移動し、ボーダレス・アートミュージアム NO-MAへ。NO-MAは、社会福祉法人が運営する美術館で、障害のある人たちによる造形表現や現代アートなど、様々な表現を分け隔てなく紹介しています。

ツアー開催日は、EXPO 2025 大阪・関西万博で開催した「アバンギャルドですが、なにか」展が巡回展示されていました。

ここでもスタッフの説明付き、美術館と現在の展示についてお話していただきました。

私が気になったのは、勝部翔太さんのビニール袋の口をとめる「ビニールタイ」で作られた戦士のアート。実際にみると、とても小さい作品なのですが、とっても精巧に作られていて驚きました。

1対1体、持っているものやポーズが違っています。

 その後は、駐車場までゆっくりと戻りながら、クラブハリエでお買い物したり、揚げたてのコロッケを食べたりと楽しみました。

 帰りのバスではビンゴ大会を開催、盛り上がっていただき嬉しかったです。今後は、城崎温泉や直島、ダイビングツアーなどを企画予定です。

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。またのご参加、お待ちしております!

本ツアーは「2025大阪・関西万博 文化芸術ユニバーサル・ツーリズムプロジェクト」連携・協働プログラムです。

【プロジェクト概要】
2025年大阪・関西万博を契機に、旅と芸術の未来をデザインする。
「文化芸術ユニバーサル・ツーリズムプロジェクト」
~誰もが、いつでも、どこへでも。日本はもっと、おもしろい、を伝える。~

一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会(以下、全国育成会連合会)による、2025年の大阪・関西万博を契 機とした「文化芸術ユニバーサル・ツーリズム」の実現を目指すプロジェクト。本プロジェクトは、国内外の障害者をはじめ、「誰もが、いつでも、どこへでも」文化芸術にアクセスできる社会の構築を目的としています。

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